- 東北メニュー
-
我慢強さと前向き思考の指揮官V導く
<検証 盛岡商日本一(4)>
盛岡商の優勝に、流通経大柏(千葉)の本田裕一郎監督(59)は涙した。斎藤重信監督(59)とは順大の同期で30年来の付き合い。「今、サッカーの現場にいる同期はシゲ(斎藤監督)と私だけ」という戦友だ。お互い自腹で購入したバスを長距離運転しながら行き来し、毎年練習試合をこなすなど切磋琢磨(せっさたくま)してきた。
92年に斎藤監督は喉頭(こうとう)がんの手術を千葉の病院で受けた。それまで、どの病院からも2本の声帯は切らなければならないと言われた。声が出なければ教員生命は絶たれるため、決断をためらった。そんな折、練習試合の千葉遠征が幸いした。本田監督の紹介で宿泊した旅館のおかみが、首の腫瘍(しゅよう)の手術を受けていた。おかみがその病院を斎藤監督に紹介、声帯1本を残す手術が可能となった。
「あいつは千葉に来るといいことがある」と本田監督。今大会期間中も、盛岡商サブメンバーは流通経大柏の部室に宿泊していた。トップチームも準々決勝の前日、同校グラウンドで練習した。「決勝戦は1人でこっそりテレビで見ました。似合わない背広着てシゲらしくなかったけど、あんな笑顔を見たのは久しぶり。泣けました」と自分のことのように喜んだ。
元日本代表FW玉田圭司ら数々のJリーガーを育てた名将は、斎藤監督の指導の特徴に「我慢強さ」を挙げた。ある年、練習試合をした際、ウイークポイントとなる選手がいた。本田監督が「シゲ、あの子はどうかな」とアドバイスをしたが、全国大会の最後まで使い続けた。「おれならあきらめてほかの選手を使うが、何度ミスしても絶対代えようとしなかった」と感心したという。この育成方法が選手の信頼を生む要因にもなった。
厳しい斎藤監督だがおちゃめな一面もある。大学の新入生歓迎会で歌ったのが東北地方のわらべうた「どじょっこふなっこ」だった。本田監督は「めちゃくちゃ音痴だった」と笑ったが、それを売りにして場を盛り上げたポジティブ思考は今に通じる。試合で大敗しても、2度の大病のときもけろっとしており、本田監督は「あいつが落ち込んでいる姿を見たことがない」と言う。
みちのく勢40年ぶりの優勝は「我慢強さ」と「ポジティブ思考」の指揮官が導いた。本田監督は「神懸かり。でも総じて振り返ると、あいつがやってきた毎日の努力を、神様が見捨てなかったということじゃないかな」としみじみ語った。【塩谷正人】
[2007年1月14日13時31分 紙面から]
最新ニュース
- 盛岡商Vパレードに2万6500人!市民歓喜 [14日12:38](写真あり)
- 日立ソフト藤原、北京の秘密兵器 [14日13:30](写真あり)
- パイオニア無念の逆転負け/Vリーグ [14日12:34](写真あり)
- 栃乃花6敗目喫す/大相撲 [14日12:30]