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金足農が大垣日大に惜敗/夏の甲子園
<全国高校野球選手権:大垣日大2-1金足農>◇11日◇4日目◇1回戦◇甲子園
雑草軍団の魂は見せた。金足農(秋田)が1-2で大垣日大(岐阜)に惜敗した。4回表無死、先発左腕の高橋健介投手(2年)の首に打球が直撃し退場。不意のアクシデントに急きょ登板した今野陽介投手(3年)が4回1/31失点と力投した。秋田県勢は夏初戦10連敗となったが、今センバツ準優勝校相手に互角の勝負を繰り広げた。
鬼気迫るプレーだった。4回無死、第1打席で本塁打を放った相手4番大林賢哉(3年)の強烈な打球が、トルネード左腕の首を直撃した。うずくまる高橋。静まり返る甲子園。それでも、座ったまま一塁にワンバウンド送球し、アウトにすると再び崩れ落ちた。「球を投げたことも覚えていない。気が付いたらタンカの上に乗っていた」。本能だけが、体を突き動かしていた。
負傷退場した高橋の気迫に、金足農ナインが燃えないわけがなかった。主将の浅野高馬遊撃手(3年)は「ベンチの気持ちを奮い立たせるプレーだった」。後を受けた背番1、今野はわずか10球程度の投球練習でマウンドに向かった。緊急登板にも「気持ちの準備はできていた」と、うろたえることはなかった。
今野にとっては、待望のマウンドだった。県大会直前に右肩を痛め、2戦6回2/33失点と不本意な成績に終わった。甲子園入り後も、毎日マッサージで治療した。徐々に回復したが、この日も痛み止めをのんで登板した。「痛みはなかったし、関係ない」と言い訳はしなかった。
気持ちの強さは子どものころからだった。アルプススタンドで声援した母敦子さん(45)は振り返った。「1度決めたことをどこまでもやり通した子」。小学5年のころだ。冬場は毎朝午前4時に起き、自宅前の雪かきをした。ほっておけば5メートルも積もってしまう。「朝起こしたこともなかった。インフルエンザで熱が39度になっても続けていた」。中学3年まで続けたという。
四死球7つを出しても動じなかった。要所は締めた。8回に決勝点を奪われマウンドを降りたが、30000人の観衆からは大きな拍手が送られた。「気持ち良かった。マウンドは楽しかったし、悔いはない。高橋は来年また頑張ってほしい」と、晴れ晴れとした表情だった。
84年夏、無名選手だけで4強進出したことから、チームは雑草軍団と称される。今年も140キロを投げる投手や、1発を放つ選手はいない。それでもセンバツ準V校に真っ向から食らい付き、最後まで苦しめた。嶋崎久美監督(59)は「高橋はずっとチームを引っ張ってきた。褒めてあげたいのは、アクシデントでもアウトにしたこと」とたたえた。精神野球を標ぼうする嶋崎監督のもと、雑草魂は引き継がれていく。【清水智彦】
[2007年8月12日12時3分 紙面から]
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